平成24年6月4日(月) |
「のだい」にてなたね油作り |
今日は、もうひとつの彩雲ひろば、「のだい」に行ってきました。ところで、「のだい」って何だろう??「のだい」とは、簡単に言えば田んぼや畑の事 なのですが、昔からこの地では、田畑に出向く時に「のだいへ行ってくるよ」と言っていたそうで、その言葉を残したいという事から、この場所を「の だい」と名付けたそうです。 その名の通り、そこは見渡す限り視界を遮るものは何もない、ほんとに広〜〜い・広〜〜い畑なんです。北を向けば三輪山がどっしりと腰をおろし、 南には鳥見山が手を伸ばせば届きそうな所に見えます。「のだい」の中央には、水門が開かれゴウゴウと音をたてて、勢いよく流れ出た水を運ぶ 水路が通っています。 ここを除けば、辺りは住宅が密集する地域ですが、ここだけは他とは違う景色が、壮大に広がっています。 三輪山と鳥見山が向かい合いその間を一直線に風が吹き抜ける。その真中で深呼吸をしてみます。風は自分の体を一周ぐるりと回って抜けていく 自分も風の通り道の一部になったのを実感できます。 ここは、昔のまんまの「のだい」なのです。 今日は、その「のだい」で、なたね油を作る為に、刈り取った菜の花から、種を収穫するという事で、やってきました。 |
ここには、たくさんの種類の花々が、咲き誇っているもの、これから花開しようと準備をしているものが所狭しと並んでいます。丸太を並べて作られた 1本道づたいに、それは奥へ奥へと続いています。あちらこちらで、蝶が忙しそうに飛び回ります。 春には、この「のだい」一面が、菜の花の黄色で染まっていました。ここに居る者、通りすがりにここを見た者の目と心を奪うほどに・・・ その菜の花が刈り取られ、その種からなたね油を作ると聞いて、やってきたのですが、まず私の目に飛び込んだのは、畑に山積みされた物体でした。 そこで「これは何ですか?」と尋ねてみました。なんと!! これが、あの菜の花だんたんですね!! 初めて見ました。ビックリです。 何度も言いますが、あの菜の花なんですよ〜・・これの為に、今日私はここに来たのに、これがあの菜の花だと知らなかったなんて・・・ 農業女子とは程遠い自分に、予習なしのトンチンカンな質問に赤面です・・・ |
そして、作業が始まりました。刈り取られ乾燥した菜の花は、山積みに。それを先ず、足で踏んだり、棒で叩いたりして、種を落とします。 |
落とした種をとうみにかけて、殻を除いていきます。そしてようやく黒くて、小さい種が集まります。 この「のだい」に、そうした山はいくつもあって、順番に同じ作業が続くのですが、それはほんとに相当な時間と手間がかかります。 気が遠くなるような作業を経て、集められた種からなたね油は作られますが、その量は、重量にしてなんと3分の1になるそうです。 なんと貴重な油でしょうか!! |
作業の合間に、「のだい」を散策しました。そこには、驚きと発見がいっぱい!! ジキタリスという花は、見た目はすごく綺麗で、成長すると人の身長にもなるくらい豪華な花なんですが、毒草と呼ばれ接種量を間違えると死んでしま う事もあるとか。また逆に心臓病の薬にもなるとか・・・ 枯れた木を見て、その根元を良く見ると、ちゃんと新芽が出ている事。親は自分が枯れそうになると、がんばって根を張って、自分の分身をちゃんと 作って、見事に世代交代を果たしています。自然の摂理の不思議を感じます。植物とはいえ、心があるように思えます。 |
レモンが、こんなに白くて可愛い花を咲かせる事だったり。完熟ベリーをほおばった時のあの甘さだったり。ここに来て、いろんな事を教わりました。 何より、あんなに大変な作業の中でも、皆さんとても楽しそうで、時には大声で笑ったり、時にはキツイめの冗談を言い合ったり、そんな光景が印象的 でした。すぐ近くで、皆さんの話を聞いているうち、「物も大事にするけれど、一番大事にするのは、やっぱり人」と言う声が聞こえました。 彩雲ひろばやのだいに集まるボランティアの皆さんの絆みたいなものを感じました。皆さんのそんな思いが人と人を繋げて今こうして、彩雲ひろばや 「のだい」が存在しているのだと思いました。 ある時、『憩いの森』を作りたいと考えた一人の人が、それを実現し存続するには、やっぱり一人では到底無理な事で、そこには人、それもたくさんの 人が係わる事が重要になります。人が人を動かすのではなくて、人の思いが人の心を動かしているんだと感じました。 私がそんな事を思っているうちに、人の力はすごいもので、あの山積みの菜の花は、すっかり種だけになり、袋詰めにされました。 この後の作業は、ここでは出来ず、油になって戻ってくるのを待つばかりとなりました。 植物は日々成長し、毎日景色を変える「のだい」。次行った時は、一番にあの子供の木を見に行こうと思います。 |